真夜中のパーティーへようこそ
いたずら好きな妖精やひょうきんなオバケ、人間が寝静まる時間に動き出す大好きなオモチャたち。
彼らに誘われ、両親には内緒で夜中にこっそりとベッドを抜け出して秘密のパーティーへと招待される。
目が覚めるといつものようにベッドにいるのだけど、夜のドンチャン騒ぎの高揚は確かに自分のなかに残っている。
夢のような、おとぎ話のような、魔法の夜。
わたしにとって「ジャニーズWEST LIVE TOUR2022 Mixed Juice」は、そういう不思議な時間だった。
ジャニーズWESTは「晴天」のようなグループだと思う。これはオタクが言う"推しは人生の太陽だ"みたいな話ではなく(わたしはオタクだしジャニーズWESTが好きなのでその発想があるのも否めないのだが)、グループ自体が明るさ・関西独特の文化である笑いをコンセプトとしているところや、メンバーが「陽キャ」と表現されるにぎやかで元気でポジティブなキャラクターであること、そして何よりセンターの重岡さんが太陽みたいな、という形容がぴったりはまる男だから。
なのでジャニーズWESTのイメージの通り、ジャニーズWESTのコンサートもまた青空を思わせるような明るく晴れやかで華やかなイメージを、ずっと持っていた。
映像でちょっと見ただけだけれど、青空の下で飛び跳ねていたメトロックはとても似合っていたなぁ。
ところがMixed Juiceは、どこか明晰夢のような、時々今は夜であることを強く意識させられるステージだった。
コンサートMixed Juiceのでわたしが象徴的に感じた楽曲は、タイトルのMixed Juiceのほかに「ブルームーン」「黎明」「ムーンライト」だった。
夜にそっと差し込む淡い月の光だからこそ、日頃隠している悲しみを優しく照らす。
闇の中だから、夜明けを信じられる。
夜の底で知らない誰かと一緒に飛び跳ねた、あの不思議な時間がまっすぐな光として心に届く。
人と人とが触れ合うことが困難になっている世界で、力強く背中を押したりぎゅっと手を握って引っ張り上げたりするだけではない励まし方を、彼らはしっかりと見つけていた。
音と色と光と、熱気も汗も涙も、ぐっちゃぐちゃに混ぜられて溢れていつか流れ出して、永遠のような馬鹿騒ぎは日の出とともに跡形もなく消えてしまった。
でもあれが夢ではなかった確信(と翌日に残る指の痛みおよび筋肉痛)が、いつか迎える夜の支えになるのかもしれない。
招待状が届いたら、素敵な真夜中のパーティーへ、またいつか。