“愛してる”以上の言葉～ジャニーズWEST「初恋」解釈～

ジャニーズWEST Double A Side Singleプリンシパルの君へ/ドラゴンドッグのc/w曲「初恋」、全編ソロパートで繋がれたジャニーズWESTとしては珍しいタイプのバラードです。

編曲もシンプルでメンバーそれぞれの声がクリアに届き、ジャニーズWESTって歌が上手いなぁと聞き惚れられる1曲。

作詞作曲は言わずと知れた関西ジャニーズJrの名曲「シルエット」と同じコンビであるMiNEさん＆川口進さんです。

同じ方が作ったならばもしかすると共通する世界の話なのではないか？という想像力(妄想癖)が働いたのでジャニーズWESTの「初恋」と「シルエット」、そして同じくMiNEさん作詞のはまこたユニット曲「雪に願いを」の個人的な解釈をします。

3曲とも登場人物は「僕」と「君」2人だけ。ただしシルエットでは恋と名付けるにはまだ照れくさい関係の2人、初恋ではタイトルにズバリ表現されているように恋が始まった2人、そして雪に願いをでは君を失った僕、という距離の違いがあります。

そして世界観が同じだというメッセージかのように共通するワードの出現。

例えば全てに出てくるのは「空」「街」「笑」「届」。

そのほかにも「歌」「咲く」「足跡」など。

そして歌のメインメッセージは「大切な言葉を君に伝える」ということ。

僕と君が全て同一人物だったとすると、2人の出会いから別れまでを描いた3部作のように聞こえてきます。ただこの3曲、それぞれの曲に空白の時間が存在していて、おたがいで補完し合っているようなところが面白いのです。

時系列に並べるならこんな感じかな。

シルエットの1番→初恋2番まで→シルエット「君と見る～」から落ちサビ～ラスト→(なんらかの理由により僕と君との選ぶ道が分かれる)→初恋「誰もわからない～」→(結局別れる)→雪に願いを→シルエット2番→初恋ラスサビ

雪に願いをでは君を失い取り残された僕が雪降る曇り空を未練タラタラで眺めていましたが、初恋では気持ちに区切りをつけて、青空に君への想いを届けて生きていくことが示唆されています。

ここで一つの疑問が。

「まだ言えなくて残っているこの気持ち(シルエット)」

「“愛してる”以上の言葉(初恋)」

その言葉ってなんでしょう？

雪に願いをでは「こんなにもこんなにも愛しています」が空の向こうの君に宛てた言葉のようです。

そこから一歩踏み出した初恋では、本当に君に伝えたかった、もしくは君と一緒に見つけたかったのは「“愛してる”以上の言葉」だと気づいています。

そしてシルエット。声にせずとも手のひらから伝えようとした「そばにいて」は結局君に届いたのでしょうか。

この3曲、純粋なラブソングとしてとても素晴らしいのですが、(私はオタクなので)どうしてもステージに立つ特別な「君」と君に出会ってしまった私=「僕」に重ね合わせてしまうところがあります。

シルエットはジャニーズWESTのシングルカップリングとして音源化されたものの、やはり関西ジャニーズJrの歌として記憶に刻まれている方が多いかと思います。(私は関ジュ時代の彼らを一切知りません。あしからず…。)

未デビュー組とファンの関係って、デビュー組とファンの関係以上に近くて、それなのに本当の気持ちを伝え合うことが難しいのだろうな、とシルエットを聴くたびに感じてぎゅーっと胸が締め付けられます。

大好き、愛してる、そんな告白ならたくさん言える。でも本当に言いたかったのは「ずっと変わらずそばにいて」だった…。もっと早く言えばよかったのだろうか？言ったら変わったのだろうか？

そんな複雑な気持ちを抱えながらいつの間にかいなくなってしまった君のために泣いた人がどれだけいるのでしょう。

初恋は、シルエットで描かれている優しく輝いた時間を美しい思い出と単純に呼べず、それでいて決して壊すことも出来ず持て余して前に進めないでいる人たちへのアンサーソングなんだと思います。

失ったときにはじめて日常に君がいたことが当たり前じゃないとわかる。君のために何ができたのだろう、そのずっと正解の出ない「答え合わせ」を抱えながら、またいつか巡り会えるかもしれない「君」への想いを、空に歌うことでいつかどこかで君に届くよう願っている。

君のそばで君への愛を叫び続けていたあの日以上の愛が、そこにはあるのかもしれません。

まぁそうは言っても好きなもんは好きだから対象への愛は叫び続けてしまうんですけどね。言わなきゃ伝わらない！言っても全然届けられないから伝わらないんだけどね！！！偉い人にお金積めば伝わりますかね！！？つら！！！

あと1幕のマリウスとファニーって初恋がイメソンになりそうじゃないですか…(結局それ)。

満ち欠けの物語