満ち欠けの物語

結果は現実逃避ポエミーブログ

忘れてもらえないの歌ここを観て!

【注意】舞台忘れてもらえないの歌のネタバレを含みます。また、レポではないので舞台の詳細なレポートを読みたい方のご希望には沿えません。ご了承ください。

 

忘れてもらえないの歌上演おめでとうございます!出演者、そしてスタッフの皆様、来場者の皆様が東京・大阪と公演の両会場で大過なく千穐楽を迎えられるよう願っています。  

 

それでは!ネタバレがあっても構わない方向け、個人的忘れてもらえないの歌ここを見てポイントです~。

※筆者は佐野晶哉(関西ジャニーズJr. Aぇ!group)くんのファンなので鑑賞にだいぶ偏りがあります。ご了承ください。

 

1.時間の経過を表現する舞台美術すごい

いきなり日本語が下手ですが美術は本物ですよ。

特に1幕冒頭から登場する「カフェ ガルボ」は物語のキーとなる場所です。時代の移り変わりとともに少しずつ変化するカフェの様子をぜひお楽しみいただきたいです。

時代とともに変わる、といえば舞台である「東京」の街並みも戦中から終戦直後、そして高度経済成長期へ向かうにつれて変わっていきます。

特に空襲が発生したシーンの東京と主人公瀧野の姿をしっかり目に焼き付けてからその後を追っていただけたら、と思います。

タイトルロールが流れ映画のように印象的なワンシーンでした。

 

2.たくさんの顔を見せる役者さんたちすごい

名前のない群集役の役者さんが、場面場面で姿を変えて登場するのが舞台の面白さのひとつですよね。

この舞台はわたしが観たなかでも役者さんの七変化が多い方かな、と思いました。場面転換で担当する役割も多くてシンプルに忙しそう。 

着替えの早さも役によっての立ち姿の違いも時には国籍や性別すら越えて別人になりきる演者たちに感動します。

猥雑で身勝手で絶望に満ちて、しかし空虚ではあるものの活気があった時代を表現できたのは、役者さん一人一人が積み上げた演技があってこそだと思いました。

 

ちなみに、佐野晶哉くんもパンフレットやキャスティングには役名のある「川崎大」しか記載されてませんが、気付けばあそこにもここにも…もしかしたら気付いてないパートも出ていたかもしれません…。くやしい…。 ネタバレ大丈夫な方が読んでいると仮定してヒントを出すなら、晶哉くん最初のシーンから出ています。

 

3.音楽すごい

何を今更、なんですが音楽本当に素敵です。生オケっていいよね!!!

主演の安田章大さんの重さを自由自在に操るかのような歌声、ヒロイン(でいいのかな?)の木竜麻生さんの必死さが怒りや哀切に繋がる声、銀粉蝶さんの第一声でシアターを豪華なキャバレーに変える歌声。

物語を彩るナンバーも選曲とタイミングとがパーフェクトで!ライブ気分で踊り出したくなる体を抑えるのに必死でした。

楽曲はすべて全神経を集中させて聴いていただきたいのですが(架空CMソングや架空ロカビリーなども含めて)特にティザームービーで主演の安田章大さんが歌い上げる「私の青空」。この曲は劇中において重要な場面で登場する、主題歌といえる歌です。

戦争により全て焼けた世界で、「青空」はどこにあるのだろう。

曲中における青空とは我が家のこと。そこがどんな場所だとしてもただ自分にとっては帰るべき「青空」となる。

物語の主要な登場人物たち、少なくとも主人公の瀧野は「青空」を持たず、「青空」に恋焦がれています。自由に音楽を楽しめなくなった日、出征した日、空襲の恐怖に怯えた日、焼け野原を前に空っぽになった日、その一瞬を境に彼らはずっと青空を持ちません。

もしかすると、JAZZだけが彼らの青空になり得た、それがアメリカを真似っこしたニセモノでも、ひとときの幻だったとしても。

だからどれだけ惨めな想いをしても、彼らはJAZZにこだわり続けて、結果「飛びきり不幸」になっていく。

転がり落ちる瀧野たちを救う「青空」はあるのでしょうか。ラストシーンが圧巻でした。

 

関ジャ二∞とも親交の深い東京スカパラダイスオーケストラの沖さん作曲のエンディングテーマがよかったなぁ!オシャレでレトロでずっと頭の中で流れてるので早く舞台のサントラください。

 

 

あえて触れてないのですが、主演の安田さんをはじめ東京ワンダフルフライの皆さんの演技が素晴らしかったことは筆舌尽くしがたいというのが正直な感想です…。話し始めたら完全なネタバレになるし…。

文章が上手な安田さんファンのブログやプロの演劇評で早く読みたいなぁ…!

 

 

 

 

 

番外編 佐野晶哉さんすごい

結局それかい。それです。 

ジャニーズ事務所入所前、劇団四季でヤングシンバとして舞台に立ち、堂本光一さん主演の「SHOCK」に憧れ入所してから3年目。経歴自体は十分だとしても、子役(とはいえ四季では板の上に立つ以上プロ扱いですが)と今とでは取り組み方が違ったはず。

なのにあんなにも堂々と伸び伸びと…。忘れ歌の世界の中で異質なキャラクターを異質なまま、しかし絶妙に憎めない加減で表現した演技力。

また、「佐野晶哉才能魅力詰め合わせスターターパック」のようなシーンをご用意いただいたことにも感動しました。

上演まで様々な形で彼を応援してくださった方々に感謝しかありません。

強いて言えば……佐野晶哉くんは17歳現役高校3年生なのですが、アレやソレ大丈夫でしたか?本人よりはむしろ観劇した保護者の皆さん(晶哉くんのファン及びAぇ!groupのファンそしてAぇ!groupのメンバー特に年長組)たちの心境の方が心配です…。

福原さん、安田さんや横山さん、そしてたくさんの方々が彼を見出し作ってくれたチャンス、この舞台をきっかけに、更に高くfly!することを陰ながらお祈りしています。